![]() |
善勝寺だより 第111号令和2年6月25日発行発行責任者 明見弘道 (2ページ) |
![]() |
---|
東光山ミニ法話
『菩提和讃』その2 妙心寺派布教師会現代語訳
しかるに一念(いちねん)迷(まよ)い初(そ)め
本有(ほんぬ)の仏性(ぶつしよう)見失い
みずから凡夫(ぼんぷ)※注1 となるゆえに
貪(むさぼ)※注2 り瞋(いか)り痴(おろか)さの
煩悩(ぼんのう)しげき三毒(さんどく)に
闇(くら)き迷(まよ)いの日々(ひび)となる
また色声香味触(しきしようこうみそく)※注3 と
五欲(ごよく)※注4 の悦楽(たのしみ)追い求め
刹那(せつな)※注5 の夢(ゆめ)※注6 に酔(よ)いしれる
殺生(せっしょう)偸盗(ちゆうとう)邪淫欲(じやいんよく)※注7
悪口(あっく)両舌(りょうぜつ)綺語(きご)妄語(もうご)※注8
破壊無慚(はかいむざん)※注9 の輩(ともがら)に
いつか救(すく)いのありぬべき
それ人間(にんげん)の身(み)を受(う)けて
この世(よ)に生(う)まれ来(く)ることは
爪(つめ)※注10の上端(うわば)に置(お)ける土(つち)
注11
まして尊(とうと)き仏法(ぶっぽう)※注11 の
教(おし)えに親(した)しく遇(あ)うことは
まこと得(え)がたき縁(えにし)※注12 なり
注1 凡夫=聖者に対して無智凡庸の者を言う
注2 三大煩悩(三毒)貪欲むさぼり・瞋恚いかり愚痴おろかさ
注3 眼耳鼻舌身(五根)が捉える対象(五境)
注4 私たちがもつ世俗的(感覚的)欲望の総称
注5 インドにおける時間の最小単位、瞬きする瞬間。一瞬とも言う
注6 夢=仏教では、実在しないものをあると思う誤った心の働きを示す比喩として用いる
注7 身体による三つの悪行
注8 言語による四つの悪行、心による三つの悪行(三毒)合わせて十悪という
注9 戒を受けた者がその戒を破ること。そしてそれを恥じることがないことを破壊無慚とい
注10 滅多にあり得ないことに喩えて用いられる
注11 仏の説かれた真理
注12 原因や諸条件の一つ一つがご縁である
現代語訳 妙心寺派布教師会による
ところが「自我」に左右され、いただいていた「ほとけ」の心を忘れて、自ら凡夫となってしまうのです。
ないものねだりの迷いの種に水を撒き、不平不満の毎日に迷わねばならないのです。
刹那の悦びと楽しさばかりを追い求める生活こそが幸せと勘違いして、本能のおもむくままにやりたい放題の、はき違えた自由を謳歌する人たちはいつになったら救われるのでしょう。
人間としてこの世に生を受けるめぐり合わせは、願っても叶えられないほどに稀なありがたいことです。
さらには本当の幸せへと誘ってくれる教えにまみえることは、それにも増して稀なことなのです。
(続く) |
- 【前のページへ】
- 【善勝寺だよりトップへ】
- 【次のページへ】