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第75号 お盆号(平成23年6月28日発行)

善勝寺だより 第75号
平成23年6月28日発行
発行責任者 明見弘道
暑中お見舞い申し上げます。

今日(6月18日)は、3月11日の東日本大震災で犠牲となられた方々の百ヵ日忌に当たります。
百ヵ日忌の別名は卒哭忌で、涙とお別れの時とされています。
でもこのたびのことに関してはこの別名はもっともっと後のことになることでしょう。
「あのとき子供の手を離さなかったら、助かっていたのでは」
「あのとき私が……なら、……だったはず」。悔やんでも悔やみきれない自責の思いは、肉親を亡くされた方にとって消えることはなく、涙と卒業するには時間と心の転換が必要です。

五木寛之さんが今年四月に明石市で講演された中に、『知人との電話で「救援物資を送ろうと思うけども、何がいい?」と尋ねたところ、「お線香」と言われたのにはびっくりしました。
もちろん、生活必需品や食料なども被災地では必要でしょうけれども、それらをおいてまで、切実な問題として被災者の皆さんの心が求めているのは、亡くなられた多くの方々への御供養であるということを、私はこの“お線香”という一言によって思い知らされた気がするのです』

(日本講演6月1日号より)

ただ、「ガンバレ ガンバレ」のエールを送ったり、政府を批判しても復興の役には立ちません。大切な家族を亡くされた方々に対し、心から悲しみを分かち合うこと、できる限りの支援を長期にわたって継続することが求められています。
今年のお盆は、この犠牲となられた方々の初盆でもあります。当山施餓鬼会においても、檀信徒の皆様のご先祖様とともに震災で犠牲となられました方々への御供養も皆様と心を一つにして行いたく存じます。
そして、皆様から頂いた供養料も義援金、また本山を通して同宗の寺院・花園会員への見舞金に充てさせて頂く所存です。

こいねがわくは、犠牲となられた方々の魂の鎮まりと、被災者一人一人の心の安らぎが得られますように。

弘道合掌

8月13日は当山の施餓鬼法要です。同封の案内書等よくお読み頂き、多数ご参拝下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。
また、塔婆のお申し込みも、同封のはがきにて、お早めにお申し込み下さいますようお願い致します。
文末になりましたが、時節柄ご自愛下さいますようお祈り申します。

東光山ミニ法話

『法句経(ダンマパダ)』その2

1 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。
 もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。
 車をひく(牛の)足跡に車輪がついて行くように。
2 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。
 もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。
 影がそのからだから離れないように。(中村 元 訳)

前回、法句経とはどういうお経かということを述べ、423の短い詩から成り立っていることも書きました。
今回はその第1番と2番目の句です。
「すべては意(こころ)より成る」神の意志でもなく単なる自然現象でもなく、人間の意志こそ、すべての存在の意味と価値を決定する基本である。と無文老師は解説されています。
漢文では「一(いつ)切(さい)唯(ゆい)心(しん)造(ぞう)」といいます。

私たちの言葉や行いが、汚れた意志によってなされるか、清らかな意志によってなされるかによって、世界のすべての存在の意味と価値が決定されます。もし汚れたれる心によって言動するならば、その人の一生と、その世界に苦しみ悩みは絶えない。牛車の牛に車が必ず従い、車に轍(わだち)がおのずから着き添うようなものである。
それに反して、清らかな心でものを言い行動をするならば、楽しみはその人の姿を離れない影のように、常にその周囲に着き添うであろう、と示されています。
「心」と訳されている原語は、パーリー語でマノ、サンスクリットではマナスで、「意」または「意志」と訳しココロと読ませるのが通例とされています。マナスはすべての心の働きの中心となっているもので、「動機」と言ってもよいとの説もあります。

仏教では、人間のマナスつまり奥深いところの心は、本来清らかなものであるという前提があります。「自性清浄心」あるいは「大円鏡智」と名付けられ、本来大きな円い鏡のように清らかなものであるとされます。
法句経百83句には「すべて悪しきことをなさず、善いことを行い、自己の心を浄めること、これが諸の仏の教えである。」(諸悪莫作 諸善奉行 自浄其意 是諸仏教)とあります。
悪いことをするな、善いことをしなさい。言葉は簡単ですが行うことは容易ではありません。ためらいもなく悪事を行うのに、善の行為をするのに躊躇するのはどうしてでしょう。法句経第九章は「悪」というタイトルですが、そこには「心は悪事を楽しむ」とあります。癖になってしまうという意味でしょう。「悪事に生き甲斐を感じて、それを繰り返してはならない。悪が積み重なるのは、苦しみである。」

本来の心(意)は善であっても、長年にわたって形成された心の癖によって本来の善の心が発揮できないでいます。善いことを心掛け、それを繰り返しているうちに、生き甲斐を感じ、それが楽しみに変わるとお釈迦様は説法されました。

〈続く〉

事務局よりのお願いとお知らせ

その1 護持費未納の方へ

当寺の檀徒(平成4年以前に檀徒として登録されている方、平成4年以降墓地を取得された方)、および、本堂内にご遺骨を預けられている方は、墓地使用規則並びに預骨規定により護持費は、前年度3月31日までに、納めて頂くことになっています。
右該当者で平成23年度護持費を納めておられない方に対しましては、5月に再度納入のお願いを郵送しましたが、未だに未納の方があります。至急お納め頂きますようお願い致します。

その2 庫裡自動ドアにに関して

節電(省エネ)のため庫裡正面の自動ドアの開閉を狭くしてあります。 全部開きませんので、戸にぶつからないよう、中央付近より注意して出入りして下さい。
書院のドアも、開けっ放しにならないよう、一人一人気をつけて下さいますようお願い致します。
また、エアコンの設定も弱めにするとともに、夜間の照明も、水銀灯二カ所と、山門と書院の外灯は消してあります。ご理解とご協力のほど、宜しくお願い致します。

その3 圏央道部分開通のこと

5月末、東北道久喜ジャンクションから圏央道白岡インターチェンジまで開通しました。東京方面から東北道経由で来られる場合は久喜の手前から圏央道に入り『白岡』で下り、国道122号を加須方面に進んで下さい。およそ10分ほど短縮されます。
関越道経由で来られる場合は、圏央道『北本』で下りて国道17号を熊谷方面に進んで下さい。圏央道も『白岡』と『北本』の間が開通すればより便利になるのですが、もう少し先のことになるようです。

♪副住職『裕さん』ついに結婚♪

「裕さん」こと英裕和尚さんは先日6月11日宗清寺本堂において、平林寺江楓室老大師を戒師として迎え、厳粛なる結婚式を挙げられました。新婦は奈保江さん。2年間の交際期間中、私も何度か一緒に食事をしましたが、とても明るくおおらかな方で、几帳面な裕さんにはお似合いのカップルです。

新居は花園に構えられ、当面そこから通っていただくことになるのですが、授業寺(実家)であります宗清寺さんもだんだん忙しくなりフルタイムで加担いただくことが難しくなりました。

そこで、裕さんの後任としてどなたかおられないかとあちこち声をかけておりましたところ、花園大学と平林僧堂の後輩で、岐阜県の龍福寺の次男であります、「小川泰宏和尚さん」に来て頂くことになりました。

初めは東北の方で震災に遭われお困りの和尚さんにおいで頂ければと考え、その方面に声をかけたのですが、回り回って、岐阜にこういう方があると紹介を受けました。縁とは不思議なもので、龍福寺の住職は私とは花園大学の先輩であり、平林僧堂での同参でもあります。そんなご縁でトントン拍子で話がまとまりました。

役員会議事録より

6月4日午後5時より当寺庫裡において『善勝寺定例総代会』を開催しました。全役員出席のもと、平成22年度会計決算承認の件などを審議し、各議案とも提案通り承認されました。
以下、決議事項を報告致します。

  1. 現状報告。
    大震災における当寺並びに墓地の被害状況と復旧の現状を報告。

  2. 英裕和尚結婚の報告と、秋に退任の件。泰宏和尚をその後任とすべく、岐阜県龍福寺と加担に関する覚え書きを交わしたことの件。
    以上の2件、了承された。

  3. 平成22年度の会計決算の件。
    報告の通り適正であると承認。剰余金2千万円余は、23年度会計に繰り越すことを承認。(檀信徒の皆様には、本決算書を同封しました)

  4. 施餓鬼会に関する件。
    昨年に準じて行うことが了承され、案内に関しては住職に一任。

  5. 今年度追加事業に関する件。
    離れを裏の道を挟んだ駐車場に、外トイレ・水場とともに建設。
    歴代住職の墓を拡張し、文律和尚と現住の墓石建立が決定。

編集後記

  • 『善勝寺だより』お盆号(75号)をお届けします。
  • 裕さんの後任、泰宏和尚ですが、小川副住職または、僧堂での呼び名「圓さん」(エンさん)と呼んで下さい。
  • 今年も、施餓鬼当日、当寺にて「墓参用生花」を販売致します。
    昨年は猛暑で花が高騰したこともありますが、花の量が少ないとの指摘がありました。今年は2束で1,000円のものと、1,500円のもの2種類用意致します。是非お求め下さいませ。
    尚、販売は13日のみです
  • 尚、同封の書類は、本書の他、施餓鬼法要のご案内(鶯色)・お盆とお施餓鬼(青色)・施餓鬼塔婆申込書(ハガキ)・ハガキの書き方(記入例)・収支決算書(当寺一般会計)です。
    不明なことは朝9時以降、夕方5時ぐらいまでに電話でお問い合わせ下さい。
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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