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第34号 春彼岸号(平成13年3月12日発行)

善勝寺だより 第34号
平成13年3月12日発行
発行責任者 明見弘道
今年の冬は例年になく雪の多い年でした。ちょうど寺で法事のある日に三度も降り、昨年は一度も出番の無かった除雪のスコップも今年は大活躍です。
3月2日の朝は、最近植えた紅梅の花に雪が積もり、『一枝の梅花雪に和して香し』の禅語そのものの風情でした。
壇信徒各位には御清祥のこととお察し申し上げます。

さて、この春は、3月20日「彼岸法要」に続いて、28日には本山巡教師による「法話の集い」を行います。本山の命を受けた巡教師さんが春と秋、全国を回られます。

坊主の説教というと、高い台の上から、訳の分からない難しい話を偉そうに言うといった印象をお持ちの方があるかと思いますが、現在は黒板を使った講演会形式であり、気軽に聞いていただけます。また、法話に関してベテランの和尚さんですので、きっと皆さんに感銘を与えていただけるものと存じます。

政治が乱れ、人の心がすさみ、親が子供を、子供が親を殺すといった地獄・餓鬼・畜生道の今の世の中、『信じあい・支えあい・拝みあい』の心を取り戻さねばなりません。これが今年の花園会の研修テーマです。
この法話会の対象は、善勝寺の壇信徒に限られているわけではありません、ご近所、友人お誘い合わせのうえ多数ご来山下さいますようお願い申し上げます。

四月には、「先代石出住職の十七回忌と奥様の十三回忌」、当部内にての「北関東教区花園地方大会」、平成12年度の会計決算を審議していただく「定例役員会」と行事が続きます。役員さんにはその都度ご足労願うこととなりますが、各行事が無事終えられますようご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

明見弘道合掌

春季彼岸会法話の集い ご案内

下記の如く彼岸法要並びに法話の集いを行います。多数ご参集賜りますようご案内申し上げます。

◇春季彼岸法要◇
3月20日 午後2時より
引き続き 法話・茶礼

塔婆をお建てになられる方は、お墓参りなさるときまでに準備致しますのでお早めにご連絡いただきますようお願い申し上げます。

法話の集い

3月28日 午後1時30分
巡教師 本田宗隆師(愛知県大雲寺住職)
主題 『合掌ー信じあい 支えあい 拝みあうー」
(参加費など一切不要です)

東光山ミニ法話

『白隠禅師座禅和讃』

衆生本来佛なり

座禅和讃は、「衆生本来佛なり」という言葉で始まります。
衆生、つまり生けとし生けるもの、本来佛である。私たちはすべて、一人の例外もなく、もともとは佛である。白隠さんはそういうものです。
それは信じ難いことです。我々は、迷い、苦しみ、つかの間の快楽に操られて、ありとあらゆる愚考を繰り返しています。自分たちの生態、その生活のありさまを、素直に振り返れば、自分が佛であるなどとは、ほとんど悪い冗談としか思えない。

しかし、白隠さんは「衆生本来佛なり」といい切る。白隠さんほど、人間の弱さを徹底して見つめた人はいない。前回紹介したように、決してはじめから優等生ではなかった白隠さんです。人間がいかに弱く、いかに愚かで、失敗ばかり繰り返すものであるか、自らの体験として、知り抜いている。その白隠さんが、「人々は、みんなもともと佛なのだ」というのです。

この「佛」という言葉は、「ほどける」という大和言葉に由来するといわれています。すなわち、結び目がほどける。縛られているロープがほどける。閉じ込められている檻がほどけて解放される。一切何ものにも拘束されることなく、何ものにも縛られず、生き生きと働いて、何にでもなり得る大いなるもの。それを佛といっているのです。
佛(ブツ)は、もともとインドの言葉です。「Budda」を音訳して「仏陀」としたことに由来するもので、「悟れる人」の意味があります。では、何を悟ったのかといえば、この限られた肉体に縛られ、限られた条件の中に閉じ込められているように思っていた自分が、実際には、限りなく自由な『いのち』の現れであった。この事実を自覚すること、それが「悟り」であり、この事実を悟った人を「佛」と言ったのです。

この世に存在するすべてのものは、形の中に閉じ込められ、名前に閉じ込められ、それぞれの特殊な能力に閉じ込められているように見えます。

人に批評された言葉、あるいは自分自信で感じたこと、そういうものから、「俺はこういう人間だ」「私はこういう性質だ」と思い込む。さらには、「こういう学校でなければだめだ」「こういう仕事でなくては」「こういう相手でなければ」「こういう親でなくては」「こういう子でなければ」などど勝手に決め込む。この決め込んでしまった状態、思い込むことによって非常に不自由な心境になっている状態を、「衆生」というのです。

しかし、この衆生の本質は、決して限られた縛られた、不自由なものではない。認識を徹底させ、透徹した目で見ますと、それらはすべて、限りなく自由な『いのち』の現れに他ならないのです。

「衆生、本来、佛なり」とは、こうした事実を実現しようとしたものに他なりません。

(故 盛永宗興老師の著書より)

花園会のコーナー

北関東花園会は、埼玉、群馬、栃木三県の妙心寺派の寺と檀徒で構成されている組織です。その年に一度の大会を、花園地方大会といいます。
今年は一部(熊谷、行田、騎西、川里の八ケ寺)が主催で、保寧寺様を会場に、4月17日に、那須の雲岩寺の老師様をお迎えして開催されます。
この大会もマンネリ化しているとの反省から、山梨の楽音寺住職らによる音楽演奏会を取り入れることになりました。人数制限がありますので、当寺からは役員さんに参加願うこととしますが、内容に関しては次号にご報告します。

Q&A

Q 彼岸は、この岸(此岸)に対して、かの岸(彼岸)と聞いておりますが、その間の河は何を意味しますか。三途の河と関係ありますか。

A 此岸・彼岸を、この世・あの世と混同されている方は多いのではないかと思いますが、基本的に別です。彼岸は悩みと苦しみから解放された世界をいい、また、此岸と彼岸の間の河は『欲・煩悩』の河をいうのであり、三途の河とは関係ありません。しかし、この越えがたい激流の河も、心をコントロールしてよく見れば、この河がなければ元々地続きですので此も彼もないことに気付きます。

「衆生本来佛なり」「煩悩即菩提」です。

境内の話題

村から町へ

ここ川里村は5月1日より町制に移行することとなっています。私個人的には首都五十キロ圏内の唯一の村であり、村であることがかえってよいと思っていましたが、いざ町になることが決まれば、何かが変わって活気が出ることを期待してしまいます。
数年後には鴻巣市などと合併することがほぼ決まっていると言うことです。 善勝寺も、封筒、名刺、ゴム印は新しくしましたが、今後パンフレットも改訂する予定です。皆様の住所録もご変更願います。

護持費納入有り難うございました

平成13年度分護持費の納入をお願いいたしましたところ、早速にお納め頂きまして有り難うございました。また、地元役員さんには大変ご足労おかけいたしました。感謝申し上げます。
規定により当寺一般会計に入れ、花園会会費を含む本山への納付金、火災保険、壇信徒の皆様への通信費などに充当いたします。

尚、当寺に墓地(合同墓地を除く)を取得されておられる檀徒の方で護持費未納の方には再度郵便振替を同封いたしました。3月末日までには納入くださいますようお願いいたします。

村外の方で、直接現金でお寺にお持ちくださる方もありますが、事務処理の都合上できるだけ郵便振替にて納付いただきますようお願いいたします。

会計 関根安正

年始の御礼と大般若祈祷のこと

今年の正月も大勢の方に年始のご挨拶においで頂き、またご丁重なる年賀を頂戴し厚く御礼申し上げます。

毎年、正月3日間は午前10時より皆様の無事を願い、『大般若転読祈祷』を行っています。当山に伝わる大般若六百巻の経本は寛政元年(1789年)俊翁和尚の代に購入されたものと判明しました。虫食いや、糊のはがれた所もありますが、毎年修理をして、大切にしまっています。1回に50巻、正月3日間で150巻、4年で600巻を転読することになるのです。

毎年欠かさずこの祈祷にお参りして頂いている方も多くありますが、年始においで下さる方は都合のつく限りこの祈祷にお参り下さり、お祓いを受けられた後、書院にあがって頂くことをおすすめいたします。

編集後記

私は政治のことには余り関心を持たない方ですが、いつかの新聞に、アメリカの大統領の演説のことが書かれてありました。それによると国民一人一人アメリカ国家のために何ができるかを考えることが大切だ。と演説しているというのです。
さすがアメリカは民主主義の国だなと思いました。

日本の場合多くの国民は、政府から何かをしてもらえるものと思い、政治家の演説は、政府は国民のために何々をします。という立場をとり、国民は自分にメリットがある方を選ぶことになります。
民主主義とは本来、国民一人一人が国に、社会に対して責任を持つことであり、最低限、社会に迷惑を掛けない、他人を害さない、またできうる限り重荷にならないようにすることだと思います。これが、ボランティアの基本であり、布施行です。
福祉にしても制度があるのだからと、財力のある人まで受けなくては損、という発想では、国の負担は重くなるばかりで、皆が個々の要求を通そうとするとすることばかり考えていると、日本将来は危ういのではないでしょうか。

そんなことを考える、今日この頃です。
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
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FAX.048-569-2294
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