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第40号 秋彼岸号(平成14年9月12日発行)

善勝寺だより 第40号
平成14年9月12日発行
発行責任者 明見弘道
25年前インドを旅したとき、気温が体温を超える日が続くことは日本では信じられないと思っていたのですが、今年の夏は36度超える日があたりまえのように続きました。
フィリッピンより暑くインド並みの猛暑でしたが、皆さまにはいかがお過しでしょうか。
涼しくなりホッとしたとき、夏の疲れが出て体調を崩すことがあります、ご自愛下さい。

さて、先月当山の施餓鬼会にはそれこそ猛暑の中、多数お参りいただきありがとうございました。570余名のご参拝者を迎えての施餓鬼法要でしたが、役員さんを始め、受付、接待、駐車場係と20名程のご協力を得て無事終えることができました。感謝申し上げます。

一方、正直言って当寺の許容人数を超えてしまったかな、という感があります。日陰を求めて移動する方や書院で休む人もありました。ただ単に多数お詣り下さいというだけでは寺側が無責任ということにもなります。
来年以降さらに参拝者の増加が予測されるだけに、寺としての対応を充分検討しなくてはならないと思っています。

次に、施餓鬼会の供養料のことですが、欠席者からの振り込みも合わせ、190万5千5百円でした。当日の経費(詳細は別記)を差し引き、25万円を寄付致しました。
内訳は、ユニセフ協会に5万円(手押しポンプ付井戸3ヵ所設置できます)。難民を助ける会に、対人地雷撤去のため6万円と、マラリア予防のための蚊帳20帳分、4万円。佛教情報センターに活動助成費として、5万円。川里社会福祉協議会に、5万円。(おのおの送金済み)

以上感謝の意を込めて謹んでご報告致します。

弘道合掌

秋期彼岸会のご案内

恒例の彼岸法要を左記の如く行います。皆様お誘い合わせのうえ、多数お参り下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。

9月23日 午後2時より
法要の後、法話・茶礼

※塔婆を建てられる方は前もって、電話またはファックスでお申し込み下さい。

北関東教区第一部 花園会開催

今年の春、騎西町保寧寺の阿弥陀様が重要文化財に指定されました。
そこで別紙ご案内の通り、9月28日10時より、部花園会が主催して、阿弥陀様に参拝して、法話の会が催されます。
人数の制限はありませんが、食事も出ますので参加希望の方はあらかじめ(20日まで)善勝寺までご連絡下さい。
参加費は無料ですが、お賽銭と、『おかげさま募金』にご協力下さい。

東光山ミニ法話

『白隠禅師座禅和讃』その8

六趣輪廻の因縁は己が愚痴の闇路なり。
闇路に闇路を踏みそえて、いつか生死を離るべき。

「六つの迷いの世界(六道)を巡らねばならないことになったのも、自分の愚かさゆえの暗闇の道というほかないのだ。
そういう暗い道ばかりさまよい歩いていて、いつの日に迷いの世界を脱出することができよう。」

六道の解説のうち前回『餓鬼』までで終わりましたので、今回は『畜生』『修羅』『人間』『天上』へと進みたいと思います。

『畜生』というのは、一般に獣たちのことですが、これは自分で自分の心をコントロールできない、自分の欲望を加減することができない、こういう世界を象徴するものです。
こう考えれば果たして私たちは畜生の世界と無縁だといえるでしょうか。
人間は、理性的存在などといいますが、ささいなことで理性など消し飛んでしまうのが我々の実体です。

『修羅』というのは争いの世界です。戦争をしたり、喧嘩をしたり、要は相手に深い憎しみを持って、これを傷つけたい、害したい世界、それが修羅です。
人類が、いや私たち一人一人が修羅の世界から脱却できない限り悲惨な戦争、凶悪事件がなくなることはありません。
『人間』というのは、喜びと苦しみが相半ばする世界です。我々の普通の生活を象徴したものです。『天上』といいますのは、喜びのみあって苦しみのない世界で、ちょうど地獄の正反対になります。

以上のような六つの世界を六道と呼んでいるわけですが、昔の人々はこれらの世界が別個に、それぞれ存在すると考えていました。一人一人の人間には、霊魂というものがあって、肉体は滅んでも、自分の霊魂は宙を彷徨い、次の世界へ入っていく、と考えました。インドだけでなくエジプトにも同じような発想があったようです。

そこで、自分の過ごした一生の間に、善いことをどれだけし、悪いことをどれだけしたか、その結果によって、次の世界が決まる。そして次々と果てしもなく別の世界に生まれ変わり彷徨っていく、これを『輪廻転生』といいます。
もともと仏教の考え方ではないのですが、こうした『輪廻』という考え方が、仏教と一緒に日本にも入ってきました。まだ人間の知識が低かった時代には、これを教えることによって、悪いことをしないように戒めることが行われました。 しかし、真理を悟られました釈尊、また祖師方々は、私たち一人一人に固有の霊魂があるというようには教えていません。

宇宙の大生命が、それぞれの存在として現れては消えて、またもとの宇宙の大生命に帰る。だから個々の魂があるのではなく、『仏性』と呼ばれる宇宙の大生命が平等に通っている、というのが仏教の教えです。

したがって、六道ということは、生死を繰り返して、あちらの世界、こちらの世界へ行くということではなくて、日々の生活の中で、私たちの心理状態があちらへ動き、こちらへ動いたりすることだというように理解したらいいでしょう。私たちの生活はたった一日のうちでさえ、様々に変化し、あるときは地獄、あるときは修羅と彷徨います。六道は決して空想的なものではなく、私たちの心の様相を鋭く、的確に捉えた表現であり、現代人の心の有様そのものです。

(つづく)

年末年始の行事

次号の『善勝寺だより正月号』は、1月4日過ぎ「大般若祈祷札」といっしょにお届けする(護持費納入者のみ)ことになりますので、ちょっと早いのですが、あらかじめ年末年始の行事をお知らせしておきます。

除夜(ジョヤ)

大晦日 午後11時半から除夜の鐘をつき始めます。108つき終わるのは零時半頃になります。ゆく年の無事を感謝しつつ、来る年の平穏を祈って、心を込めてついて下さい。
振る舞い酒もあります、ご家族で多数お越し下さいませ。

修正会(シュウショウエ)と年始

正月元旦~3日 午後10時より修正会大般若祈祷を行います。
善勝寺に古くから伝わる大般若六百巻を転読し、仏法の興隆、五穀豊穣、山門並びに檀信徒各家の無事を祈る行事です。
3日間祈祷した『大般若札』は、今年度護持費を納入いただいた皆様にお届け(郵送)致します。
この祈祷終了の後、書院にて年始の挨拶と致します。(午前中のみ)
3日間の内ご都合の良い日にお出かけ下さい。
注《午後は書院での接待は致しません》

施餓鬼法要の決算

〈収入〉
供養料(盆供)190万5千5百。
塔婆料(5百67基)170万1千。合計360万6千5百円。

〈支出〉(当日の経費、端数切り捨て)
弁当代、60万。飲み物代、18万。テント・椅子など、27万。寺院謝儀、10万。施本300冊、25万。塔婆・花・供物など、26万。
合計およそ166万円でした。

寄付金25万円の内訳は前述の通りです。以上ご報告致します。(会計)
『施餓鬼会』に関して皆様からのご意見をお待ち致しております。(役員)

あきらめたから、生きられた

昨年のことですが、武智さんという方が漁船で操業中エンジンの故障で太平洋を漂流し、37日ぶりに救助されたことを覚えておられますか。
「人間はなかなか死なないものだなあ」という言葉が有名になりました。

石川拓治さんという方が武智さんから聞いたことをまとめて、小学館から出版された本のタイトルが「あきらめたから、生きられた」です。
エンジンをあきらめ、水をあきらめ、生きることすらあきらめたとき、何ともいえないすがすがしい境地にたどり着いたというのです。
諦めるというのは、仏教用語で、努力を怠ることではなく、明らかにすることです。自分の力ではどうにもならないことを、どうにもならないことと確認をする、これが『諦』です。

武智さん曰く「不謹慎のようですが、人に迷惑がかからないのであれば、また海の上に戻ってもいいような気持ちです。」

境内の話題

墓地内の水場は井戸水になります。
本堂の裏手に井戸を掘りました。地中120メートルからくみ上げるきれいな水ですが、散水と墓参用で、消毒してありませんので飲料としては許可されておりません。
タンクに貯めていませんのでしばらく出してからなら多少飲んでも問題はありません。むしろお茶などはこの水の方がおいしいことでしょう。

工事中ご注意下さい

境内南側の塀の工事が始まりました。工事中何かとご迷惑おかけします。
特に駐車場の出入りにはご注意下さい。11月にはひとまず工事は終了となります。

東光山掲示板

「ママ、今度の試験よくできたよ」
「よく勉強したのね」とママは大喜びだったが、
「お友達はどうだったの?」と子供に聞くと、
「みんないい点だったよ」すると、ママはがっかりしました。なぜですか?

編集後記

  • 施餓鬼会の決算を見ていただければおわかりのことと思いますが、当日の経費が年々増えていきます。
    一施主あたりに換算すると5千5百円。参拝者平均では3千円となります。
    特に今年の施本『釈尊のこころ』は8百円(通常は千円の本)でしたので、来年からは経費見直しをしなくてはと考えています。これを無駄にしないためにも是非多くの方に読んでいただきたく存じます。本当にいい本です。
  • 『北の国から』の最終回2日連続で見ました。よかったですね。淳君のセリフ「いやなんだよ、こそこそしているの、いやなんだよ、今までずっとそうなんだ、めんどうなこと、年中逃げて、向かおうとしないで黙って避けていた。そうやってずっと生きていた。そうゆうやり方いやなんだ、ちゃんと逃げずに……」
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
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