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第51号 お盆号(平成17年7月1日発行)

善勝寺だより 第51号
平成17年7月1日発行
発行責任者 明見弘道
暑中お見舞い申し上げます。

すっかり田植えも終わり、日々緑が濃くなる田圃を見ながら犬と共に散歩を楽しんでいます。

カエルの合唱もとても風情があり、散歩の時間も長くなりがちです。

無文老師の座禅和讃講話に、一粒のモミは、数えることもできない百千万粒のモミの結果であると同時に、未来無数百千万粒のモミの原因でもある、と書いてありました。このままが結果でありこのままが原因であるという因果一如と言う言葉で表されるのですが、このことは次ページに譲るとして、14000年前から農耕の営みが始まり、脈々と受け継がれています。作業は機械化されたとはいえ、土と水と太陽という自然の恵みを得て育つことは昔も今もなく、大自然と共に生きて行かなくては生命の未来はありません。

モミ一つ一つ同様、私達一人ひとりにも過去幾千万人ものご先祖様の願いがあって自分が存在し、自分の願いが未来永劫の人々に影響を与えることになります。私達一人ひとり正しい願いを持たなくてはいけないことを痛感すると共に、人間も稲と同様に大自然の恵みの中で生きていることを認識しないと、人間の未来もありません。

それにしても、人間はなんて愚かな動物でしょう、子が親を殺したり兄弟で殺し合いの喧嘩をする、戦争という大量殺人、人類以外こんなことをする動物はありません。猛獣と言われるライオンや虎にしても同族を殺すことはありません、生きてゆくに必要な最低限の獲物を捕るだけです。

人間として、してはいけない事とすべき事を子供の時から繰り返し教育しなくてはいけないとつくづく思う今日この頃です。

お盆が近づいてまいりました。私達のご先祖様は、私達に何を託されたのか、願いは何であったのかじっくり考えてみたいものです。

最後になりましたが、時節柄ご自愛下さいますようお祈り申し上げます。

明見弘道合掌
さて、別紙ご案内の如く、『山門大施餓鬼法要』を8月13日(土)厳修致します。

今年も4座(4回)法要を行ないます。同封の書類をよくご覧の上、お申し込み頂き、多数御参拝下さいますようご案内申し上げます。

地域による区分けが、去年と一部違うところがありますのでご注意下さい。

また、初盆の方はその位牌をご持参いただければ、中卓にお祀りしてご供養致します。

尚、同封の書類は、本書の他
  1. 施餓鬼法要のご案内(鶯色)
  2. お盆とお施餓鬼(青色)
  3. 施餓鬼法要各座区分地図
  4. 施餓鬼塔婆申込書(ハガキ)
  5. ハガキの書き方(記入例)
  6. 収支決算書(当寺一般会計)
です。是非ご一読願います。

東光山ミニ法話

『白隠禅師座禅和讃』その19

因果一如の門開け、
無二無三の道直し。

『華厳経』に「初発心の時、即ち正覚を成す」と言う言葉がありまして、私達が真実、人類のため社会のためと菩提心を起こすと、その時もう、悟りを開いたも同じこと、仏になったも同じことという意味です。

アメリカに行く飛行機に乗ったと言うことはアメリカに着いたも同じことであります。世界の全ての人々が、過去の恨み憎しみを捨て平和を願うのであれば、世界は平和になったも同じ事です。

私達は、まず何よりもよい願心を起こすことが大切であります。そしてよい願心が発せることは、本来仏だからでもあります。

原因の中にすでに結果があり、結果の中に全ての原因がすくいとられる。この微妙な道理のわかることを、「因果一如の門開け」と白隠禅師はうたわれたのであります。

『法華経』というお経は、大乗の精髄と言われ、経中の王とも讃えられる大切なお経でありますが、「妙法蓮華経」と言うこのお経の名題は、この不二の妙法を蓮華に喩えられたものであります。蓮華という花は、インドや中国で最も尊ばれる花ですが、花が開くと同時に、もうその中にちゃんと実ができています。華果同時であります。また蓮華は清水の中には咲きません。泥田の中でないと咲きません。煩悩の泥を捨てずして、そのままそこに菩提の花を咲かせ、生死の垢を離れずして、そのままそこに涅槃の花を開かせる教えを、大乗と名付けられます。
「まかぬ種は生えぬ」という諺がありますが、「未来の果を知らんと欲せば、現在の因を見よ、過去の因を知らんと欲せば、現在の果を見よ」と経典には示されてあります。現在の原因の中に、未来の結果はちゃんと含まれており、現在の結果の中に、過去の原因ははっきり現れているのであります。

こう見てゆくと、一日一日を踏みしめて堅実に歩んでゆくことが、私達のよりよい未来を開く唯一の道であります。

この秋は雨か嵐か知らねども、
その日のわざに田草取るなり。

損とも得とも、苦とも楽とも思わず、ただひとすじにその仕事に日々を打ち込んでいける生活こそ、望ましいのであり、これこそ未来に通じる充実の生活といえるでしょう。

次に、『法華経』には「唯だ一乗の法のみ有り、二も無く亦三も無し」とあります。そこを白隠禅師は「無二無三の道直し」と歌われたのであります。

二・三と言うのは声聞乗・縁覚乗そして菩薩乗を言うのですが、お釈迦様も相手に応じて様々な方便を用いられたのであり、最終的には全ての人々を救いたいという目的・願いをもっておられたことは疑いようもありません。

そこで、「因果一如無二無三の世界」こそ、私達の行き着くべき彼岸であります。

役員会議事録より

去る4月19日、善勝寺定例役員会が召集され、全役員の出席を得て、平成16年度事業・一般会計決算報告。墓地並びに駐車場拡張計画の一部変更等審議しました。
以下、決議事項を報告致します。

  1. 事業報告、会計報告。
    *駐車場舗装工事、本堂エアコン、本堂庫裡の避雷針工事など16年度の事業を報告すると共に、入檀者数など寺の現状を報告。
    *会計決算は、基本財産として1,000万円定期預金するなど、報告の通り適正であると承認。剰余金2,600万円余を17年度度一般会計への繰越金とすることを議決。
    (檀信徒の皆様には、本決算書を同封しましたが施餓鬼法要の時、会計より、会計報告を行います)

  2. 墓地並びに駐車場拡張計画の一部変更に関すること。
    *昨年12月に了承された、墓地の拡張計画案は、地権者との話し合いの結果、駐車場、通路など全体的な見直しが必要となったことを報告し、新計画案が了承された。引き続き松村氏関根氏を中心に地権者と交渉をすることが決まった。

  3. その他。
    施餓鬼会に関すること。
    *今年も昨年同様四座制とするが、昨年は座によって参拝人数にばらつきがあったので、地域による区割りを一部変更することを決め、その案内の内容は住職に一任する。
    *初盆の方は位牌を持参頂き中卓に祀り供養すること、初盆の方は前列に座って中卓で焼香、他は回し焼香。
    水向けは全員退堂時とする。
    *役員・青壮年部・婦人部の前日及び当日の手伝いは、昨年と同様にお願いする。などを確認した。

以上
善勝寺では、8月13日に施餓鬼法要を行っており、ちょうど迎え盆の日でもありますので、お盆の供養も含めた意味で施餓鬼法要にお参り頂いております。

そこで法要の意義ですが、私達がこうして存在するのも、父母を始め多くの先祖様から命のバトンタッチがなされてきたからであります。我が家のため、子孫のためにと、苦労に苦労を重ねてこられたそれぞれのご先祖様に感謝の誠を捧げることは当然のことです。

また、社会環境や、自然環境などの悪化で、私達の命が脅かされるわけですから、自分さえ良ければいいという(餓鬼の心)誤った考えを排除し、全ての生命(衆生)を尊び、お互いに助け合い(自他一如)、大自然の分身が自分であることを知り、地球全体のことを考える(人境一如)。これが盆供養並びに施餓鬼法要の精神です。

当寺ではこの精神にのっとり、施餓鬼会の供養料の内、当日の経費を除いたものすべて、難民を助ける会、ユニセフなどに寄付致しています。

今年はタイなどインド洋つなみ災害復興のため、また十数年継続しています、カンボジア・アフガニスタンなどの地雷撤去のための費用として、またマラリア予防のための蚊帳を寄付する予定です。供養料は定めていませんが、今年も皆様の暖かいお志(布施行)をお納めいただきますようお願い致します。

また、供養料は袋に入れて施主氏名をお書き下さい。名字だけですと記帳できないことがありますのでフルネームでお書き下さい。

お願い

緊急の場合を除いて、寺への電話連絡は朝9時以降、夕方は5時頃までに。
また、お盆・施餓鬼会のお問い合わせは、同封の案内をよくご覧の上で、解らない点をお尋ね下さいますよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

編集後記

『善勝寺だより』お盆号(51号)をお届けします。

私ごとですが、とうとう痛風が出てしまいました。前から尿酸値が高いので気を付けるようにと指摘されていまして、ビールを控えて焼酎を飲むようにはしていたのですが、暑いときはやはりビールがおいしく、ついジョッキでググーと。

「因果一如」の法則では、ビールだけのせいではなく、昔からの生活習慣が原因で、今ここに痛風というかたちに結果として表れたのであり、この痛風に対する対応が未来の結果をもたらす、などと洒落にもならぬ事を考えてしまいました。

それはそれとして、目の前に積んである塔婆の山を見ると、千里の道も一歩からで、まずは一枚一枚書いていくことが、このお盆を乗り切る事につながるのだと自分に言い聞かせています。
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