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第58号 春彼岸号(平成19年3月8日発行)

善勝寺だより 第58号
平成19年3月8日発行
発行責任者 明見弘道
善勝寺に来て15年になりますが、雪が全く降らなかった冬は今年が初めてです。境内の梅はすでに散り始め、桜も彼岸過ぎには開花するのではないかと思うぐらい、芽が大きく膨らみました。地球温暖化の影響なのでしょうか。天候不順は農業をはじめ、あらゆる分野に悪影響をもたらすことを思うと、暖かい冬でよかったなどと安易に喜ぶことができなく、かえって不安になります。

さて、今年は先代住職、石出禪英和尚の23回忌に当たります。(昭和60年3月31日示寂 世寿84歳)石出家ご遺族とも相談の上、前回の役員会で、春季彼岸法要に併せてこの法要を行うことを決めました。檀信徒の皆様多数お参りいただき、ご焼香賜りますようお願い申し上げます。

私自身は面識ありませんが、戦前・戦中・戦後と苦しい時代、善勝寺を護ってこられた和尚さんです。大変温厚な方で、部内寺院支所長を永年勤められ、宗務に貢献され、また、不自由な足を引きずるようにし、寺のため一生懸命働いて居られたと聞き及んでいます。
この先代の苦労という土台の上に、現在の善勝寺が建っているわけで、法要を営み、皆様と共に?を偲び感謝の念を捧げたく存じます。

今まで、先代の墓は、石出家の墓所にありましたが、この度歴代住職の塔所に移させていただきました。今後、当寺の塔所ももう少し広く整備し、現在高橋家の墓所内にある先々代文律和尚(昭和9年示寂)の墓も、無縫塔(卵塔とも言い和尚独特の墓の名前)を塔所内に建立しなくてはならないと思っています。またそれと同時に、私が入る墓の場所も確保して置かねばなどと考えているところです。

次に、お彼岸のことですが、般若心経の「波羅密多(パーラミター)」を「到彼岸」と訳したところから「彼岸」というようになったのです。この波羅密多は、頭で考えることではなく行じてこそ意味があります。己が完成された人間になろうとの願いを起こし、一歩でも踏み出す機会になればと願っています。

明見弘道

春季彼岸会ご案内

前述の通り今年は、春季彼岸法要に併せて先代禪英和尚23回忌法要を左記の如く厳修致します。多数ご参拝下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。

来る 3月21日(水曜日)午後2時より
禪英和尚23回忌法要
引き続いて春季彼岸法要
了じて法話。書院にて茶礼。

彼岸法要には受付はありません、供養料、塔婆代などは前机の黒いお盆に各自お供え下さい。
また、塔婆をお建てになる方は、お墓参りされる時までに準備致しますので、お早めに電話やFAXなどで、お申し込みいただきますようお願い致します。

東光山ミニ法話

『般若心経』 その2

觀自在菩薩 行深般若波羅密多時 照見五蘊皆空

前回も書きましたが、般若心経にも如是我聞「私はこのように聞いています。」から始まる大本と言われるものがあります。これによりますと、世尊(お釈迦様のこと)が王舎城ラージャグリハ(私がインドを旅した頃はラジギールと言っていましたがボンベイをムンバイと言うようになったように近年当地読みに改められた)の郊外にある霊鷲山に、大勢の修行者や信者衆とおいでの時、シャーリプトラ(心経には舎利子と漢訳されていますが智慧第一といわれたお釈迦様の十大弟子の一人、舎利弗のこと)がお尋ねになりました。

もし立派な若者が、般若波羅密多(彼岸に到ること・智慧の完成)を実践したいというなら、どのように学べばいいと、答えてあげればいいでしょう」と。
たまたまこの時、世尊は深い禅定に入っておられましたので、「観自在菩薩」が世尊に代わって答えられました。

通常読まれている般若心経流布本は、ここから始まりますので、何でいきなり観音様がでてくるのか設定が分からないのですが、こういう経緯だったのです。また、観音様のお話が終わった後、お釈迦様が深い禅定から醒めて立ち上がり、「善哉善哉、とても素晴らしかった」といって観音様を賞賛されます。「本当にそのように、いま観音様が示されたように、般若波羅密多は実践すべきなのです。」とお釈迦様がその内容を保証されたのです。

観自在菩薩と観世音菩薩とは同じ仏様で、アヴァローキテーシュヴァラが原語です。禅宗でよく読まれるお経で、「大悲呪」というのがありますが、ここでは、ボリョキチーシフラヤーと読んでいます。
この菩薩様、般若教典を訳された、玄奘三蔵は「観自在」、観音経を訳された鳩摩羅什は「観世音」と訳されたのです。仏とは智慧と慈悲だと言われるのですが、智慧を主体とするときは「観自在」、慈悲を主体とするときは「観世音」と考えたらよいかと思います。一般的には観音様といった方が分かりやすいので、ここでは観音様と言うことにします。
この観音様、お地蔵様と共に日本で一番親しみがあり、広く信仰されている仏様です。しかし歴史上実在の人物としてのお釈迦様以外、阿弥陀如来、薬師如来、弥勒菩薩などのこれらの仏、菩薩様は実在の人でないことはご存じかと思います。ではどうしてここに観音様が登場するかと言うことになります。
それは、大乗仏教の特徴でもあるのですが、これらの仏菩薩を登場させることによって、より信仰が大衆に広まると同時に、より深まるという利点があります。

故山田無文老師の言葉によると、「人間と仏との間にあって、仲介の労をとられる方が観音菩薩でありましょう。言うならば、観音様は仏性そのものであり、お互いが生まれながらにして持っておる、尊厳なる普遍的な人格そのものであります。
その普遍的な人格である観音様が、釈尊に代わってこの普遍的な真理である『般若心経』を説かれておるのであります。そして、お互いは生まれながらにして、この普遍的な人格を具えておるのですから、実は説く人も観音様ならば、説かれるお互いもともに観音様だったということになりましょう。」

心の優しい人のことを観音様のようだとか、菩薩様のようだと言いますが、いかにも人間に近い存在のようであります。このように完成された仏でなく、やがては仏になられる方として、菩薩というものを置いた大乗仏教は、出家し、厳しい戒律を守る特殊な人々のためだけの宗教を脱皮させ、全ての人々が救われる世界宗教となったのです。

その観音様が智慧第一の舎利弗にお話しされました。
「私(観音様のこと)が般若波羅密多のための(彼岸に至るための)実践をしている時、五蘊は皆『空』なのだと分かりました。」五蘊とは、私たちの心身を構成する五つの集まり、色・受・想・行・識を意味します。

〈つづく〉
(玄侑宗久著現代語訳般若心経・故山 田無文老師の著書などを参考引用)

境内の話題

現在鐘楼の瓦の葺き替えを行っています。大きい鬼瓦が載り、勾配もしっかり付けられ、立派な鐘楼に生まれ変わろうとしています。下り棟の鬼瓦がずれただけですので、部分的な修復で直せればとも思ったのですが、万が一事故でも起きれば大変なことになると考え、全体の葺き替をすることにしました。こうして屋根の葺き替えだけで、見違えるように変わり、今後数十年の安心を得たと思えば、結果的に大変良かったと思っています。ついでに、撞木も新しくしました。ご来山の折りには、よくご覧の上、お撞き下さい。

地球温暖化と太陽光発電

地元境地区・上会下地区にも太陽光発電を備えた家が数件あります。その家の方々に伺ったところによりますと、季節によって違いはあるが、自分の家で使う電気ぐらいは、だいたい発電できる。夜間電気契約をし、日中あまり使わないと、電気を売ることができる。など、最初の工事費はかかるものの、設置して良かったとのことです。
地球温暖化対策は、人任せでなく、それぞれできることを実践しなくては改善できません。電気消費量が多い寺です、太陽光発電のことを前向きに検討して実現させたいと思っています。

護持費納入のお礼とお願い

平成19年度分護持費の納入をお願い致しましたところ、早速にお納め頂き恐縮に存じます。
尚、当寺の檀徒の方、当寺に墓地(合同墓地を除く)を取得されておられる方、また、本堂内にご遺骨を預けておられる方で、護持費がまだ未納の方は、3月末日までには必ず納入下さいますようお願いいたします。
当寺合同船、また霊園などに墓地がある方で、納入義務のないかたでも、『善勝寺だより』並びに、お盆などの行事案内の発送を希望される方は、是非ご納入下さいますようお願い申し上げます。

平成15年の役員会での申し合わせにより、この『善勝寺だより』並びに諸行事の案内は、護持費を納入頂いた方に限らせて頂いておりますのでご了承願います。
ただ、葬儀・法要の依頼に関しては納入の有無に関係なく平等に承っておりますことを付け加えさせておきます。

振替用紙を紛失したので送ってほしいという方もありますが、再送致しません。振替用紙は郵便局の窓口にもあります。

会計 岩間和夫
振替口座番号は 00500-8-60592 善勝寺

事務局からのお知らせとお願い

前号にも書いてありますが、当寺墓地の内、西向き区画の永代使用料が、4月1日より普通区画・特別区画とも5万円高くなります。また、新規契約できる墓地区画の数も少なくなってきました。当寺に墓地をとお考えの方がありましたらお早めにご契約いただきますよう、またお勧め下さいますようご案内致します。

次に、現在当墓地内に、木製の墓標を建ておられる方へお願いですが、できるだけ早い時期に、石塔建立をお考えいただきますようお願い致します。
この件は、墓地使用規則にはありませんが、平成17年役員会での申し合わせで、『新たに木製の墓標は建てない、現在、建立の方には早期の立て替えをお願いする』によるものです。

編集後記

  • 『善勝寺だより』春彼岸号をお届け致します。
  • 3月2日の朝、ウグイスの声を聞きました。3度ほど鳴いてどこかに行ってしまいましたが、とても爽やかな気分にさせれくれました。
    お寺では、お供えでいただいたリンゴやオレンジを切って、小鳥たちにおすそ分けします。特に冬の間は他に食べるものがないのでしょう、いろんな種類の野鳥が来て、見る見る食べ尽くしています。
    木を植え、この小鳥たちが喜ぶ環境を整え、また護ることが、地球を護ることにもつながると思い、掃除や手入れが大変になることは分かっていますが、さらに植樹して、もっと緑あふれる境内にしてゆきたいと考えています。
  • 次回お盆号は、7月の初旬発行予定です。施餓鬼会、お盆に関することは、次号『善勝寺だより』をお読み頂いた後にお問い合わせ下さいますようお願い致します。

弘道
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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