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第59号 お盆号(平成19年7月1日発行)

善勝寺だより 第59号
平成19年7月1日発行
発行責任者 明見弘道
暑中お見舞い申し上げます。
檀信徒の皆様におかれましては、益々ご清栄のことと拝察致します。

先日の新聞に、「うちの子には自宅で掃除をさせていないので、学校でもさせないでほしい」子供同士の小さなトラブルで「相手の子を転校させるか、登校させないでほしい」などと学校に要求した親がいて、我が子かわいさからであるものの、あまりのも理不尽な要求に、学校側が苦慮していることが書いてありました。
今はあまり言わないかもしれませんが、人間の生活で大切なことは「衣・食・住」です。これは、良い衣服を着て、美味しいものを食べて、立派な家に住むことを言うのではなく、生活の基本、いわゆる炊事・洗濯・掃除の大切さを表しています。

私の父は、「かわいい子には旅をさせよ」の言葉通り、私が中学になるときから岐阜の寺に小僧に出しました。禅寺の小僧生活は、「衣食住」の基本を徹底的にたたき込まれます。衣の着方、たたみ方。箸の持ち方、茶碗の置き方洗い方、掃除の仕方。庭掃除をしてから学校に行くのは当たり前、トイレ掃除、風呂掃除は小僧の日課です。高校になった頃は、台所も任せられました。夕飯の片づけの後、お米を研ぎ、薪の準備をしておかないと、朝間に合いません。特に冬は、辛いのですが誰かがしなくてはならないのです。

誰かがしなくてはならない辛い仕事、いやな仕事、どうして自分だけ逃れることができましょう。ましてや、自分たちが使う教室や廊下やトイレ、小学生といえども自分たちで掃除するのは当たり前です。かわいそうに思っても、あえてそれをさせるのが、親の愛情であります。
かわいい子だからこそといって、小僧に出すことができた私の父親は、さすがは明治生まれの和尚と賞賛し、それを引き受けて、あえて厳しく育ててくれたた師匠にも感謝しています。
子供の時の生活習慣はとても大切です、とくに食事の作法など、大人になって改めることは難しく、食べ方がきたなかったり、身の回りのことがしっかりできないと「育ちがわかる」とよく言ったものです。

生活の基本である「衣食住」を子供の時から教えてこそ、安倍総理のいう「美しい日本」を築いていけるのではないでしょうか。

明見弘道合掌
別紙案内の如く、『山門大施餓鬼法要』を8月13日(月)厳修致します。
同封の書類をよくご覧の上、お申し込み頂き、多数御参拝下さいますようご案内申し上げます。

尚、今年から塔婆料は、施餓鬼供養料を含めて、一基につき6千円となりました。また、参拝人数を平均するため地域による区分けが、去年と一部違うところがありますのでご注意下さい。

東光山ミニ法話

『般若心経』その3

照見五蘊皆空 度一切苦厄

前回に五蘊とは、色・受・想・行・識と言いましたが、これをもう少し詳しく説明することと致します。

第一の色は、物質的なもの、形ある全ての物であり、私たちで言うならば、肉体のことです。後の4つは、精神作用です。
第二番目の受は、外の世界を受け入れるという意味で、感覚の集まりのことです。具体的には、眼・耳・鼻・舌・身・意という「六根」が、色・声・香・味・触・法という「六境」を感受する、その感覚のことをいいます。法は真理、法則などいろいろな意味がありますが、ここでは「思い」という意味です。
第三番目の想は、判断、認識のことをいいます。六根が感受したものが脳に伝達され、紅い花だ、鳥の鳴き声だ、いい香りだ、などと認識されます。
第四番目の行は、行いであり、判断が行為に移ることをいいます。美味しそうな物を見ると、食べたいと思う。いい服を見つけると、着たいと思う。実際にそうするかどうかとは関係なく、特定の方向に気持ちが向くことをいいます。
最後の識は、本能といわれるものも含め、経験、知識、認識などといわれるもの全てをいいます。
これら五蘊は、全て「空」だというのです。「空」の説明は難しいのですが、実体ではなく、仮に現れた現象のことを「空」という言葉で置き換えています。
物質を「色」という言葉で現しているといいましたが、インドの言葉で「ルーパ」を「色」と訳しました。元の「ルーパ」には「形あるもの」という意味の他「変化する物」「やがて壊れるもの」という意味もあります。

またインドでは古来から物質は、地水火風の四つの元素から成り立っている。あるいはこれ以上分割できない粒子「極微」(原子)、それが七つ集まって「微塵」(分子)などといわれるものを考えていたのですが、実体として存在する物はなく、全ての物は縁に従って現れたり滅したりしているのだということを「空」という一文字で表しました。(色即是空)

また、仏教では、この世は「一切皆苦」であると説き、苦を滅する方法を教えています。
苦というと、四苦八苦という言葉を思い浮かべると方が多いでしょう。その四苦とは、生・老・病・死をいいます。また、八苦は四苦の他、愛別離苦(愛する人と別れる苦しみ)、怨憎会苦(憎たらしい人にも会わなくてはならない苦しみ)、求不得苦(求めるものが手に入らない苦しみ)、五蘊盛苦(五蘊から生ずる苦しみ)をいいます。最後の五蘊から生ずる苦しみというのはよく分からないかと思いますが、自然に活動すること自体が私を苦しめる、肉体的・精神的なストレスもこれにあたります。

「私は(観音様のこと)五蘊は皆空だということを見極めることができましたので、一切の苦悩とか災厄を感じなくなりました」
〈つづく〉

《故山田無文老師の著書・現代語訳般若心経(玄侑宗久師)・般若教典(中村元氏)などを参考にしました》

境内の話題

金井和尚のこと

当寺はお陰をもちまして、檀信徒数も増え、この善勝寺便りの発送もおよそ千通となりました。大変有り難いことに、法要の件数も多くなりました。

ただ、私もなま身であり、土曜日曜ごと、法事が5回ということが続くと、正直いってしんどいと思うようになりました。境内も広くなり、掃除も行き届かないこともでてきました。
誰か加担(手伝いのこと)してくれる方はいないでしょうかと、平林寺の老師さんにお願いしていたところ、今年になって、「美里町の宗清寺の副住さんはどうだろう、一度あって話し合ってくれ」との連絡がありました。
さっそく宗清寺御住職共々ご来山頂き、互いの意志を確認致したのち、2月3月と土日の法要をお手伝いいただき、4月から正式に善勝寺の客僧として法務を加担していただくことが決まりました。法人としての宗清寺と善勝寺の覚え書きも、4月の役員会で了承され、離れ(元)岡部宅を自由に使っていただくこととしました。
平林寺での修行道場の後輩であると共に、花園大学の後輩でもあります。また、大変まじめな方で、本当に良い縁を頂いたと感謝致しております。

今後、善勝寺の副住職の立場で、住職の名代としての勤めも含めて、法務を加担いただくことになります。檀信徒の皆様には、是非ご理解ご了承いただきますようお願い致します。

呼び方ですが、一般的に副住職を縮めて「副住さん」と呼んでいただくのが通例です。名字で「金井さん」、また親しみを込めて、名前の下の一字で呼び合う僧堂風に、「裕さん(ユッサン)」と呼んでいただきたく思います。

住職のことも含めて、僧侶のことを先生と呼ぶのは好ましくありません
因みに、31歳独身です。アフターファイブのお誘いも宜しく。

役員会議事録より

4月7日、『善勝寺定例役員会』が召集され、全役員の出席を得て、おもに平成18年度一般会計決算の承認などが議案として審議されました。
以下、決議事項を報告致します。

  1. 金井和尚を善勝寺の客僧として迎える件。勤務内容、待遇などを記した、宗清寺との覚え書きを承認。

  2. 平成18年度の会計決算は、報告の通り適正であると承認。剰余金は19年度会計に繰り越すことが承認されました。
    (檀信徒の皆様には、本決算書を同封しました。また、施餓鬼法要の時、会計報告を行います)

  3. 施餓鬼会に関する件。案内等に関して、住職に一任。

  4. 太陽光発電設置、法人車両買い換えの件、了承されました。

5月18日『臨時役員会議』における決議事項。

  1. 駐車場の西側(境132-2番地)250坪、地主との交渉がまとまり、駐車場用地として取得することを決定。購入価格など了承。

  2. 墓地拡張計画一部変更の件。
    前述の土地取得に関わり、平成18年12月6日に決議された、墓地拡張計画の内、通路部分など一部変更することを承認。
    (拡張計画図面は当寺ホームページ上の区画図にアップしてありますのでご覧下さい)

以上、ご報告致します。尚、善勝寺護持発展のため、皆様の建設的なご意見ご要望などをお聞かせ下さいますよう、お願い申し上げます。《役員一同》

お願い

お願い 緊急の場合を除いて、寺への電話連絡は朝九時以降、夕方は五時頃までに。
また、お盆・施餓鬼会のお問い合わせは、同封の案内をよくご覧の上で、解らない点をお尋ね下さいますよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます

編集後記

  • 『善勝寺だより』お盆号(59号)をお届けします。
  • 車庫の屋根に太陽光発電を設置し、5月25日より1ヶ月で、630KWH発電し、CO2削減量は113KGCとなっています。当寺全体の消費電力から比較すると、ごく一部ですが、地球温暖化対策のアピールになればと思います。ついでに車も、燃費の良いハイブリッドにいたしました。
  • 去年まで永年に渡り、福祉作業所「ポプラ館」が、施餓鬼会当日、花・クッキー・野菜などの販売をしておりましたが、諸事情により今年からは販売できなくなりました。これまでご愛顧いただきました皆様には心よりお礼申し上げます。
  • 今年からは、マナカ生花さんの協力で、当寺にて「墓参用生花」を販売致します。2束千円と、この時期にしては大変安くなっています。是非お求め下さいませ。収益全て「対人地雷撤去」などのために寄付致します。
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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