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第62号 春彼岸号(平成20年3月7日発行)

善勝寺だより 第62号
平成20年3月7日発行
発行責任者 明見弘道
檀信徒の皆様には如何お過ごしでしょうか、昨年の冬は暖冬で一度も雪が降らなかったのですが、今年も暖冬との予報は外れ、とても寒く、雪の日も多い年となりました。しかもどういう訳か日曜日に限って積もり、法事の前に墓地通路まで雪かきをすることになりました。春一番も大嵐になり土埃が舞い上がり本堂の中までざらざらでした。
その後も冷たい風が吹いていますが、それでも三月の声を聞くと遅れていた紅梅も開花し、柳の芽もふくらみ全体が黄色味を帯びています。

昨年、クレア鴻巣に養老孟司先生を講師に招いての仏教講演会があり、それが契機となって、『バカの壁』や『死の壁』を読みました。科学者が、「人生の意味を考え、欲を抑えることが大切だ」などと主張されていることを知り嬉しくなりました。宗教と科学は相容れないものと思っておられる方もあろうかと存じますが、宗教も科学も真理を探求するものであり、相反するものではないというのが私の信念です。

故人となられましたが、元花園大学の学長盛永宗興老師も「仏教の教えを後から科学が証明してくれている」と話されていました。

イスラム原理主義などは、一元論の典型で、主張の違う相手をはなから理解しようとしません。理解できない脳の構造にしてしまっているというのが養老先生の考えです。そのてん仏教、なかでも特に禅は、一元論的な先入観をリセットしたうえで、人間としてどう生きるかを説いているわけで、平和思考です。

忙しく慌ただしい世の中でありますが、ゆったり静かに座って脳に蓄積された先入観をリセットする、これが般若波羅密多を行ずることであり、お彼岸の行事でもあります。是非実行に移していただきたく存じます。

春季彼岸会ご案内

例年の通り、春分の日午後2時より彼岸法要を厳修致します。多数ご参拝下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。

来る 3月20日(木曜日)
午後2時より
春季彼岸法要 了じて法話。書院にて茶礼。

彼岸法要には受付はありません、供養料、塔婆代などは前机の黒いお盆に各自お供え下さい。
また、塔婆をお建てになる方は、お墓参りされる時までに準備致しますので、お早めに電話やFAXなどで、お申し込み下さいますようお願い致します。

東光山ミニ法話

『般若心経』その6

受想行識 亦復如是
舎利子 是諸法空相
不生不滅 不垢不淨 不増不減

前回に引き続き、般若心経前半は、「五蘊は皆空である」との説明が続きます。色受想行識が五蘊で、始めに、色不異空空不異色、色即是空空即是色。と、色は空であると説かれました。
「受想行識」も亦、色と同じである。
ということは、右の色を受想行識に置き換えるとこうなります。つまり、
受不異空空不異受、受即是空空即是受。
想不異空空不異想、想即是空空即是想。
行不異空空不異行、行即是空空即是行。
識不異空空不異識、識即是空空即是識。
と書くところ、「亦復如是」と、略したということです。色受想行識は、善勝寺だより59号(昨年のお盆号)に説明してありますので、ここはもういちいち解説する必要はないと思いますので省きますが、全ての事象は因縁によって生じるのであり、実体がある物は何一つとしてないことを繰り返し説いています。

「舎利子」、シャーリプトラさんと呼びかけですが、これも60号(秋彼岸号)にて解説済みです。
「是の諸法は空相にして、生ぜず、滅せず、垢つかず、清からず、増さず、減らず」
「諸法」の『法』、私たちが日常使う法は、法律・法則・憲法・方法・仏法・法事・法要など、何も疑問を持たず使うなじみのある漢字ですが、ここで云う諸法の法は、一般の漢字辞典にあるのり・てだて、という意味ではありません。

仏教語辞典によれば、法はインド語のダルマ(達磨さんのダルマです)の訳で、「たもつもの」、特に「人間の行為をたもつもの」が基の意味で、もちろん普段使われている法の意味も含まれますが、十八項目の意味が列記されています。般若教典の項目では、「心のあらゆる思い、思考の対象となるもの一般、心が対象としてとらえるもの」などと書かれてあります。

般若心経の解説書には、「この世において、すべての存在するもの」、また「いろいろのもの」、「あらゆる現象」などと訳されています。
諸法、人間が認識できる全てのもの、目に見えるものを始め、におい、味、音、などなど、とにかく全てのものは、因縁によって現れているだけで実体としてはなにもない。このことを「空相」と表現します。

私たちの脳による認識では、生まれたり滅したり、また汚れたりきれいになったり、増えたり減ったりしているように見えますが、真実は何も変化していない。つまり生ぜず、滅せず、垢つかず、清からず、増さず、減らず。と説かれています。

そんなことを云うけど、赤ちゃんが生まれた、おじいさんが死んだ。この事実はどう説明するのだ。と云う方もあろうかと思います。前回にも登場しました、解剖学者の養老孟司さんの著書「死の壁」には、人間を含む生物のどの時点が生で、どの時点で死と決めることはできないと書かれています。法律上、誕生あるいは、死亡と見なすことは便宜上決められていますが、科学的にはどの時点で死と決めることはできないし、生命は連続しているわけで、生物以外から新たに命を作り出すことはできないのです。そればかりか、全宇宙の質量とエネルギーは一定であるとの見方が現代科学者の見解です。

人間の思惟を越え、真理の世界、全宇宙的見地、あるいは科学の見地から見ると、「不生、不滅、不垢、不淨、不増、不減」であります。

〈つづく〉
[玄侑宗久著現代語訳般若心経・中村元著般若教典などを参照]

事務局からのお知らせとお願い

墓地拡張のことですが、鴻巣市から墓地区域変更に関する許可もおり、緑地部分及びF区(小区画1m2)の通路の工事が始まりました。
このF区(小区画)を予約された方には後日、本契約のための書類を郵送致します。よくお読みいただいた上、ご署名くださいますようお願い致します。

尚、この小区画の永代使用料は、西向き25万円、東向き30万円(入檀金を含む)です。石塔の建立工事費は、45万円(白御影石使用の場合)と、他の霊園などと比べかなり安くなっています。

本堂にご遺骨を預けておられる方、また、普通区画を契約したが、墓石建立費用の観点から小区画に移動したいと考えておられる方など、小区画を見学いただきご検討下さいますよう、ご案内致します。

次に、現在当墓地内に、木製の墓標を建ておられる方へお願いですが、できるだけ早い時期に、石塔建立をお考えいただきますようお願い致します。
この件は、墓地使用規則にはありませんが、平成17年役員会での申し合わせで、『新たに木製の墓標は建てない、現在、墓標建立の方には早期の立て替えをお願いする』によるものです。

圏央道川島IC迄開通間近

3月29日、圏央道が川島ICまで開通します。今まで関越道の東松山IC経由で当山に来ておられた方は、29日以降は鶴ヶ島JCTより圏央道に入り、川島ICで国道254東松山方面に向かい次の信号「中山」交差点を右折、「消防組合前」を左折し鴻巣川島線を通れば、10分ぐらい短縮できるかと思います。

桶川JCT完成は21年度の予定。更に東北道からも菖蒲白岡ICが22年度開通の予定で久喜IC・加須IC経由でご来山の方も便利になります。桶川と菖蒲がつながるのは24年度とのことです。

護持費納入のお礼とお願い

平成20年度分護持費の納入をお願い致しましたところ、早速にお納め頂き恐縮に存じます。
尚、当寺の檀徒の方、当寺に墓地(合同墓地を除く)を取得されておられる方、また、本堂内にご遺骨を預けておられる方で、護持費がまだ未納の方は、3月末日までには必ず納入下さいますようお願いいたします。
当寺合同船、また霊園などに墓地がある方で、納入義務のないかたでも、『善勝寺だより』並びに、お盆などの行事案内の発送を希望される方は、是非ご納入下さいますようお願い申し上げます。

平成15年の役員会での申し合わせにより、この『善勝寺だより』並びに諸行事の案内は、護持費を納入頂いた方に限らせて頂いておりますのでご了承願います。
ただ、葬儀・法要の依頼に関しては納入の有無に関係なく平等に承っておりますことを付け加えておきます。

振替用紙を紛失したので送ってほしいという方もありますが、再送致しません。振替用紙は郵便局の窓口にもあります。
会計 岩間和夫
振替口座番号は 00500-8-60592 善勝寺

編集後記

  • 『善勝寺だより』春彼岸号をお届け致します。
  • 2ページの般若心経の欄を書いているうちに、フッと、岐阜大仙寺での小僧時代のことを思い出しました。
    寺では、月に一度「お茶でもどうや」と師匠がみんなを集めて抹茶を点ててくれる茶礼といわれるものがありました。(時には美味しいお菓子も戴きましたが、たいていは大徳寺納豆一粒を抹茶ともに食べた記憶があります。)
    中学3年の頃だと思うのですが、茶礼の時、「エネルギー保存の法則って知ってるか」との和尚の問いに、理数系に強い私は兄弟子達をさしおいて「ハイ知っています」と答えました。「じゃー弘道どういうことか答えて見ろ」「エネルギーには熱エネルギーや運動のエネルギーなど色々ありますが、質が変わってもエネルギーの量は一定であるということです」「具体的に例を挙げて見よ」「ハイ、こうしてパンと手をたたくと音が出ますが、これは手を動かした運動のエネルギーが空気を動かす音のエネルギー、それが和尚の耳の鼓膜を動かすエネルギーなど、次々に変化しますが、最初に手をたたいたときののエネルギーは消えないし、エネルギーの量は同じであるということです」「ウ…」。
    後で兄弟子が、「手を打って答えたから、和尚も何も言えなくなったなあ」と褒めてくれました。
  • 新庫裡建設のことですが、設計に関してはほぼ決まり、現在開発許可の申請中です。5月には着工、12月に完成の予定です。
  • 次回お盆号は、7月の初旬発行予定です。施餓鬼会、お盆に関することは、次号『善勝寺だより』をお読み頂いた後にお問い合わせ下さいますようお願い致します。

弘道
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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