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第70号 春彼岸号(平成22年3月8日発行)

善勝寺だより 第70号
平成22年3月8日発行
発行責任者 明見弘道
2月としては暖かい日が続き、境内の紅梅・白梅共に満開となりました。裏の柳も一斉に芽を吹き出し、モヤがかかったように見えます。
檀信徒の皆様に於かれましては如何お過ごしでしょうか。

当山では2月8日より、旧庫裡の解体が始まり、3月2日には責任役員さん参列の下、地鎮祭を行いました。
平成4年に建設し、同7年に増築した、事務所を兼ねた庫裡でした。建物的にはまだまだ新しく、もったいないように思うのと、家族で暮らした思い出のある建物が跡形無く解体され、いささか寂しい思いがあります。
しかし、本堂には祠堂位牌をお祀りするスペースが後わずかとなっていますので、第2本堂とも言うべき今回の計画は急を要することでもありました。
秋の彼岸までには、完成させ彼岸法要と落慶法要を合わせて行いたいと考えています。
工事期間中皆様には何かとご不自由をおかけすることと存じますが、ご了承下さいますようお願い申し上げます。

さて、お彼岸も近づいてきました。今年の春分の日(彼岸の中日)は、21日であります。因みに、昨年は20日が春分の日でした。
春分の日と秋分の日は、年によって日が違うのは何故だと思われますか?
それは、「国民の祝日に関する法律」で、春分(秋分)の日は、「天文学的な春分(秋分)をふくむ日」と定められているからです。従って、国立天文台が毎年2月1日、官報の「暦要項」で翌年の祝日などと共に、春分秋分など24節気を発表し、これをもとにカレンダーがつくられます。
24節気が年によって異なるのは、暦の上での1年が365日なのに対し地球が太陽の周りを1周するには365日と約6時間かかるからです。そのため、春分秋分のみならず、冬至・立春など24節気の日は、○日頃となっています。

(朝日小学生新聞参考)

お彼岸は、日本独特の仏教行事ですが、暑さ寒さも彼岸までと言う言葉もあるように、我々の先祖は、暦に対して繊細な感覚を持ち、暦には昔からの知恵がつまっているように思います。
季節に対して鈍感になりがちな昨今ですが、微妙な季節の移り変わり、大自然の営みに目を向けることにより、心豊かな生活を取り戻したいものです。
例年の通り、春分の日午後2時より彼岸法要を厳修致します。
多数ご参拝下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。

東光山ミニ法話

『般若心経』その14

故知 般若波羅密多 是大神呪
故に知る、
般若波羅密多は、是れ大神呪なり。

この般若心経の解説も最終段階に入りました。学生時代から、般若心経の講義を聴いたり、解説書を読んだりしていつも感じたことがあります。
それは、これまでのところは、何とか理解できるのですが、ここから後は理解の範疇を越えてしまうことです。
特に、この後『呪』の字が五回出てきますが、どうして『呪』なんだろうと考えて理解に苦しんだ経験があります。
仏教は合理的な宗教でありますから、マジナイ・迷信のたぐいは排除するのが基本的な立場です。
にもかかわらず、般若心経の最後に、「ギャーテーギャーテー」から始まる呪文が最も神秘的で最高であるというのです。このあたりの所をどのように理解したらよいかを探ってゆきたいと思います。

呪の原語はマントラとかダラニと言い、少し長いものをダラニと言い、短い唱えごとをマントラと言うようです。
ダラニは真言宗で読まれるお経と思われがちですが、臨済宗や曹洞宗でも大悲呪(大悲心陀羅尼)・消災呪(消災妙吉祥陀羅尼)・佛頂尊勝陀羅尼などのお経をよく読みます。インドの言葉をそのまま音訳したお経ですので解説書を読まない限り、意味は全くわかりません。ある和尚さんに、全く意味のわからないお経を読んでいますが、これで良いのでしょうか、と尋ねたことがあります、「意味をよく知っている仏教学者が読むお経より、意味がわからなくても、ひたすらに読んでいるお坊さんのお経のほうが尊いのだ」と言われました。

弘法大師(空海)は、『声字実相義』という書物の中で、「音を宗とせば仏果に至す」、つまり一心に読経すれば必ずや成仏すると言い切っています。
日本にも古くから、言葉には霊力があるという言霊思想がありましたし、インドの人々も「呪文」を直接「いのち」に響く力ととらえていました。
東洋だけではありません。キリスト教でも、伝統的な古い言葉を使ってのミサが主流で、一般の信者には何をいっているかわからない、と聞いたことがあります。
玄侑宗久師は「現代語訳般若心経」のなかで、『最も効果的な呪文は、意味がわからない方がいい。意味はわからないままに音だけを暗記するのです。そして繰り返し唱え、「響き」の力だけを感じるべきだと思います。』と述べています。
「ナンマイダブー」という念仏、「ナンミョウホウレンゲキョー」というお題目。ただひたすらに唱えることが大切であると言うことでもあります。
善勝寺では、年忌法要の時、皆さんにも一緒にお経を読んでいただいております。目で追っていくだけでなく、声に出すと言うことがとても大切なことであることだけはおわかり頂いたと思います。

最後に、無文老師の言葉です。
『この般若の知恵がわかると、煩悩を持ったままで、罪悪のままで凡夫がそのまま仏になれる。そういう尊い唱えごとであるから、これを大神呪と言うのである。大きな力のある、権威のある唱えごとである』

〈つづく〉

護持費納入のお礼とお願い

平成22年度分護持費の納入をお願い致しましたところ、早速にお納め頂き恐縮に存じます。
尚、当寺の檀徒の方、当寺に墓地(合同墓地を除く)を取得されておられる方、また、本堂内にご遺骨を預けておられる方で、護持費がまだ未納の方は、3月末日までには必ず納入下さいますようお願いいたします。
納入義務のある方で未納がある場合は、6月頃督促状を郵送する予定です。
また、過年度の護持費が未納の方には、振替用紙には過年度分と合計した金額を記入してあります。
今後は、「次年度分を3月末日までに納入すること」という規則に従ってくださいますようお願い致します。

次に、墓地使用料、合同船納骨料に関してその一部を分割して支払っていただいている方がありますが、その内には滞りがちの方もあるようです。
どうか速やかに納入下さいますよう合わせてお願い申し上げます。

振替用紙を紛失したので送ってほしいという方もありますが、再送致しません。振替用紙は郵便局の窓口にもあります。但しこの場合の振り込み手数料は納入者側になります。

会計 岩間和夫
振替口座番号は00500-8-60592 善勝寺

葬儀はお礼の儀式

現在、妙心寺の管長さんである雪香室老師は、「葬儀というものは、亡くなった人に代わって遺族がお世話になった皆さん方へのお礼をする儀式だ」とおっしゃいました。亡くなった人は、決して自分一人で生きてこられたわけではないのです。また、死んでしまっているから自分で後始末もできないのです。たくさんの皆さんにお世話になって自分の一生を終えることができたわけですから、遺族が代わって皆様方にお世話になったお礼をするということなのです。葬儀においで頂けなくても、「○月○日逝去しました」という、報告はされる必要があると思います。

春季彼岸会ご案内

今年のお彼岸は、18日より24日までです。仏壇に茶菓、お花をお供えし、ご家族でお参りしましょう。
お墓には、期間中ご都合の良い日にお参り下さい。
当寺では、左記の如く春季彼岸法要を行います。お時間が合えばご参列いただき、伴にご回向いただきますようご案内申し上げます。

3月21日(日曜日)
午後2時より、本堂に於いて。
彼岸法要・五分間坐禅・法話

彼岸法要には受付はありません。供養料、塔婆代(3千円)などは、施主名記入の上、前机の黒いお盆に各自お供え下さい。
また、塔婆をお建てになる方は、お墓参りされる時までに用意致しますので、お早めに電話やFAX・メールなどで、お申し込み下さいますようお願い致します。またその際、参拝日の予定もお書き添え下さると幸甚です。

母からの書きつけ

昨年12月8日、読売新聞(埼玉版)「ひろば」に当寺の檀家の野本きくよさんが、贈り物というテーマで書かれたコラムが掲載されましたのでご紹介致します。

主婦 野本きくよ(鴻巣市新井)

今年の1月、母は92歳で他界しました。人生の半分は「駄菓子屋のおばちゃん」として過ごし、多くの子供たちから慕われました。手先も器用で、手芸や編み物など何でもこなし、俳句や短歌も詠み、私には自慢の母でした。

その母が、心筋梗塞で倒れ、ベッドでの生活を5年過ごし、眠るように黄泉の国へ旅立ちました。

その後、私は何もする気分がなく、ただ月日が過ぎていきました。秋ごろになって、やっと母の残した品々を整理し始めました。どれも母のにおいがして、処分できませんでした。その中に、私あての書きつけがあり、ドキドキしながら読みました。生活の知恵をしたためた内容でした。この書きつけは、母からもらった「最後の贈り物」になりました。

編集後記

  • 『善勝寺だより』春彼岸号をお届け致します。
  • 4年目に入りました、般若心経の解説も、あと2・3回で終わるかと思います。この次はどうしようかなと思いつつ今回の彼岸号を作成しました。
  • 次は禅語にしたら、と言う方と、法句経が良いのではと言う意見があります。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
  • 本山発行の冊子に「蒔けよまけ、仏の種も彼岸から」という句がありました。充電と称して、何もしないでただ休んでいるのというのでは、何の芽も出ません。
  • 2年間勤めさせていただきました、共和小学校のPTA会長も4月の総会でバトンタッチできることになりました。良い経験をさせていただいたと思うと共に、この間、事件や事故がなかったことが何よりでした。
  • 次回お盆号は、7月の初旬発行予定です。施餓鬼会、お盆に関することは、次号『善勝寺だより』をお読み頂いた後にお問い合わせ下さいますようお願い致します。

弘道
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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