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善勝寺だより 第70号

平成22年3月8日発行
発行責任者 明見弘道
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善勝寺だより第70号

東光山ミニ法話

 『般若心経』 その14

 

 故知 般若波羅密多 是大神呪

故に知る、

般若波羅密多は、是れ大神呪なり。

この般若心経の解説も最終段階に入りました。学生時代から、般若心経の講義を聴いたり、解説書を読んだりしていつも感じたことがあります。

それは、これまでのところは、何とか理解できるのですが、ここから後は理解の範疇を越えてしまうことです。

特に、この後『呪』の字が五回出てきますが、どうして『呪』なんだろうと考えて理解に苦しんだ経験があります。

仏教は合理的な宗教でありますから、マジナイ・迷信のたぐいは排除するのが基本的な立場です。

にもかかわらず、般若心経の最後に、「ギャーテーギャーテー」から始まる呪文が最も神秘的で最高であるというのです。このあたりの所をどのように理解したらよいかを探ってゆきたいと思います。

呪の原語はマントラとかダラニと言い、少し長いものをダラニと言い、短い唱えごとをマントラと言うようです。

ダラニは真言宗で読まれるお経と思われがちですが、臨済宗や曹洞宗でも大悲呪(大悲心陀羅尼)・消災呪(消災妙吉祥陀羅尼)・佛頂尊勝陀羅尼などのお経をよく読みます。インドの言葉をそのまま音訳したお経ですので解説書を読まない限り、意味は全くわかりません。ある和尚さんに、全く意味のわからないお経を読んでいますが、これで良いのでしょうか、と尋ねたことがあります、「意味をよく知っている仏教学者が読むお経より、意味がわからなくても、ひたすらに読んでいるお坊さんのお経のほうが尊いのだ」と言われました。

弘法大師(空海)は、『声字実相義』という書物の中で、「音を宗とせば仏果に至す」、つまり一心に読経すれば必ずや成仏すると言い切っています。

日本にも古くから、言葉には霊力があるという言霊思想がありましたし、インドの人々も「呪文」を直接「いのち」に響く力ととらえていました。

永代供養の善勝寺東洋だけではありません。キリスト教でも、伝統的な古い言葉を使ってのミサが主流で、一般の信者には何をいっているかわからない、と聞いたことがあります。

玄侑宗久師は「現代語訳般若心経」のなかで、『最も効果的な呪文は、意味がわからない方がいい。意味はわからないままに音だけを暗記するのです。そして繰り返し唱え、「響き」の力だけを感じるべきだと思います。』と述べています。
 「ナンマイダブー」という念仏、「ナンミョウホウレンゲキョー」というお題目。ただひたすらに唱えることが大切であると言うことでもあります。

善勝寺では、年忌法要の時、皆さんにも一緒にお経を読んでいただいております。目で追っていくだけでなく、声に出すと言うことがとても大切なことであることだけはおわかり頂いたと思います。

最後に、無文老師の言葉です。

『この般若の知恵がわかると、煩悩を持ったままで、罪悪のままで凡夫がそのまま仏になれる。そういう尊い唱えごとであるから、これを大神呪と言うのである。大きな力のある、権威のある唱えごとである』

〈つづく〉
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