善勝寺だより 第81号平成24年12月20日発行発行責任者 明見弘道 (2ページ) |
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東光山ミニ法話
『法句経(ダンマパダ)』その8疏水師(かわづくり)は げに 水をみちびき 箭匠(やづくり)は 箭をためなおし
木工(きづくり)は 木を曲げととのう 智あるひとも また
おのれをととのうるなり (145)(友松圓諦師 訳)
疏水師は治水師とも言います。昔から、「水を治める者は国を治める」と言うように、川が氾濫しないように堤防を築き、また用水を整えることは国を治める上で最も大切なことです。
いくら弓道の名人であっても、矢がゆがんでいたりしては的に当てることはできません。矢を矯め直すことは、矢を作る職人の基本的な仕事であります。
また、大工(木工)さんの仕事も家を作るにしても家具を作るにしても、まずは、柱や板をゆがみなくまっすぐに削ることに専念します。
これらと同じように、慎み深い人(智恵あるもの)は、まず己れ自らを調えることに専念するであろう。
新年にお渡しする、教区のポスターには「心をいつも平らかに」とあります。心が乱れれば言葉も乱れ、行いも乱れることになります。心を平らに、つまり心を調えることは何よりも大切なことであります。
私たち禅宗では、心を調えるためには、静かに座ること、つまり座禅をすることが一番よい方法だと考えます。
妙心寺派の「生活信条」に
一日一度は静かに座って、身と呼吸と心を調えましょう。
とあります。山田無文老師は座禅のことを次のように述べておられます。[座禅ということを一言で定義すると、「調える」の一字に尽きると思う。
まず体を調え、次に呼吸を調え、最後に心を調えることが座禅の要諦であるが、心が調ったらさらに却下の靴を調え、家庭を調え、社会を調え、やがては天下国家を調えることが広義の座禅と言うことでなければならん、と思う。]
治水家の流れを治めるように、矢作りの矢を矯めるように、木工の木を正すように、私たちは一日一度は静かに座って、身と呼吸と心を調えたいものです。
そしてそのことが、自分の生活を調え、家族を調え、地域社会・国家を調え、さらに世界の平和につながるものと確信します。
終わりに、法句経(一四四)の句を紹介します。
信(まこと)(信仰)によりまた 戒(いましめ)と精進(はげみ)により
また 禅思(しずけさ)(精神統一)と
法(よきこと)の決断(とりきめ)(真理を確かに知る)
により
智と行をかね
こころにつつしみあり
かかるひと
この世の大なる
苦しみに打ちかたん
(友松圓諦師 訳)
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